ヴィーナス誕生


「ヴィーナスの誕生」ボッティチェルリ 15世紀
ボッティチェルリはこの絵を、ホメロス讃歌として伝承された「アフロディテ讃歌」をもとに描いたと言われる。
そこへ西風の息吹の湿り気をおびた力が、
彼女を、輝く海の上を、柔らかい泡に包んだまま運んだ。
そして黄金の髪飾りをつけた季節の女神たちが、
喜んで彼女を迎え、不死の衣を着せてやった。
  1. 画面左の空中に描かれている男性像は西風の神ゼヒュロス。
  2. 右の岸辺(キプロス島)で衣を持ってヴィーナスを迎えているのは季節の女神ホ-ラ。
  3. ギリシャ神話の女神アフロディテはローマ神話では女神ウェヌス(ヴィーナス)になる。

この絵は、正確には、エーゲ海の白い泡から誕生したアフロディテが、キプロス島に到着した場面を描いたものですね。 ヘシオドスは「テオゴニア(Theogonia)」の中でアフロディテ誕生を次のように伝えている。

大いなる天(ウラノス)は夜を率い
愛欲に満ちた大地(ガイア)の上に横たわり
その全身を覆った。
そのとき彼の息子のクロノスは
待ち伏せの場から左手をのばし
右手に巨大な鎌をとり
父親の男根を一気に切り落とし、後方へ放り投げた。

波の打ち寄せる海原へ投げ飛ばされた男根は
長い間漂っていた
やがてその不死なる男根の回りに白い泡(アフロス)が湧きたち
その中から一人の乙女が生まれ、育った。
乙女はまずキテラ島へ、さらにキプロス島へ渡った。
この美しい女神が島にあがると、その足元からは若草が生い茂った。
神々も人間も
彼女を泡(アフロス)から生まれたアフロディテと呼んだ。

ちなみに、
  1. ボッティチェルリは「美しきシモネッタ」という肖像画を描いてますが、このヴィーナスはシモネッタという女性がモデルだと言われてます。
  2. このシモネッタという女性は、フィレンツェのヴェスプッチ家に嫁し、このヴェスプッチ家というのは、後に新大陸の発見者:アメリゴ・ヴェスプッチが出る家で、アメリカという名はこの人の名前:アメリゴから付けられた。

参考文献
  1. ギリシャの神話 by カール・ケレニイ
  2. ヴィーナス以前 by 木村重信
  3. Theogony by Hesiod at The Internet Classics Archive
  4. Homeric Hymns 6.1 (Aphrodite) at The Internet Classics Archive

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