世界の民話・俗信

 世界には、猫についての民話が数多く存在する。
猫と言えば、良い話ばかりではない。猫は神秘的できまぐれからか、人をだましたり、化けて出たりと社会に対して害毒を及ぼす迷信も多い。
 日本で一番有名な話が、『猫また』である。年老いた雄猫は妖をなし、形が大になり、尾が二岐に分かれ、夜になると村里に入りこどもらを襲い、人を喰う。それを『猫また』と言う。化け猫や妖怪扱いされたと思うと、招き猫なる福を招くものもある。まったく猫とは、陰と陽の二つのイメージを連想させる不思議な動物である。 外国でも猫の民話は多い。そのうちのいくつかを紹介しよう。
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ブルガリアの『猫が食べてから顔を洗うわけ』では、
ある猫が雀を捕まえ食べようとしたところ、雀に「あなたはどうして食べる前に顔を洗わないの?」と訊ねられた。「あなたのお母さんも、そのまたお母さんも、みんな行儀がよくて、食べる前には必ず顔を洗っていたわ。」と雀が言うと、猫は尤もだと思い、雀に言われるまま両手で顔を洗った。そのすきに雀は飛び立ち猫から逃れることが出来た。それ以来、猫は二度と騙されるまいと思い、食べた後に顔を洗うようになった。

イタリアの『猫の家へ行った女の子』は、
シンデレラの話と少し似ている。ある姉妹がいて姉はままっ子、妹は実の母のもとにいた。妹とまま母は、姉をたいそういじめこき使っていた。ある日、まま母が姉娘に、猫の家に行って振るいをかりてきておくれと用事をいいつけた。姉が猫の家に行くと、家の中には沢山の猫がいて、掃除をしたり、食事を作ったりとみんな忙しく働いていた。姉娘はそれを見て、猫たちを手伝ってやった。手伝いが終わった後、振るいをかりて帰ろうとすると、猫の主人が「お前に、ドレスをプレゼントしよう。木綿のドレスと絹のドレスどちらがいい?」と問うと姉娘は木綿のドレスを選び持ち帰った。途中でロバが鳴くと、その木綿のドレスが絹のドレスに変わった。それを聞いた妹娘は、自分も絹のドレスを貰おうと、猫のいえに振るいを返しに行った。その日も猫の家では沢山の猫たちが働いていた。妹娘は早く猫の主人に会いたいため、邪魔な猫たちを蹴散らかし、奥へと進んで行った。猫の主人に振るいを返すと、絹のドレスをくれと要求した。猫の主人は妹娘の望み通り、絹のドレスを与えた。妹娘は絹のドレスを手にウキウキ気分で帰路につくと、途中でロバの鳴き声を聞いた。その直後、妹娘のおしりからロバのしっぽが生えてきて、切っても切ってもしっぽは生えてきた。

タイトルだけなら誰でも聞いたことのある『長靴をはいた猫』は、
飼い主を出世させるフランスの猫のお話。 貧乏な粉屋の三人息子が、父親が亡くなり殆ど無い財産を三人で分けることになった。 一番上の長男は、水車小屋を貰い、次男はロバ。三男は、貰うものが何も無くなってしまったので、猫を貰った。 三男は何にも役立たない猫なんか貰って、これからどうやって暮らしていけばいいのか分からず途方にくれた。それを聞いた猫は、「僕に長靴をくれたらあなたのお役に立ちます。」と言うので、三男は猫に長靴を与えた。猫は行く先々で、三男をカラバ公爵に仕立て上げ、しまいには王様までまんまと騙し王様の娘と三男は結婚した。
猫の俗信
 日本
猫が顔を洗うと雨になる。
猫が騒ぐのは雨のしるし。
猫が棺桶の上に乗ると死人が起き上がる。
見知らぬ猫が入り込んできたら幸福が訪れる。     
 イギリス
黒猫が前を横切ると、悪いことが起こる。
黒猫が家にやってくるのは縁起がよい。    
猫には9つ命がある。
猫が死人をまたいだり飛び越えたりすると、死者の魂いが乱される。     
 ドイツ
猫が毛づくろいすると雨が降る。
朝、猫が道路を横切るところを見ると、不幸が起こる。
猫は雷、火事から守ってくれる。     
 ロシア
猫が神棚に飛び上がると、一家にじき死者が出る。
猫が顔を洗うのは、お客がくるしるし。     
 ブルガリア
猫は9回死んでも魂が蘇る。
粗末にするとたたる。
親しい友人どうしでも、二人の間を黒猫が通ると、不和が生じて仲が悪くなる。  
 


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