現在の所はっきりした原因は解っていませんが、必須アミノ酸の一つ
タウリンの不足によるものであるという説が有力です。
心臓は丈夫な筋肉(心筋)でできた、いわばポンプのようなものです。
その内部は4つの部屋に別れていますが、この病気になった猫の心臓
の壁は内側に向かって肥大していき、ついには部屋の隙間がなくなっ
てしまいます。その結果心臓から送り出される血液の量が減少し循環
障害に陥ったり、小さな血液の塊(血栓)が各所の血管を塞ぐ事があ
ります。(血栓症)
当然死亡率も高い病気です。
特徴的な症状はありませんが、運動をすると咳がでる、舌の色が紫だ、
呼吸困難になりやすい、犬のように舌を出してハーハーする、突然後
足をいたがる、マヒした手足が冷たい、などがあります。
血液検査、心電図、レントゲン検査で正確に診断できます。
治療は専門的になりますので割愛させて頂きます。予防の方法は特に
ありませんが、日頃の食事によく気を付けタウリンの不足を起こさな
いようにすること位でしょう。
腎臓は血液から老廃物を取り除いたり、体内の水分を調節したりと体
を正常に保つためにいろいろ重要な働きをしている器官です。腎不全と
は、腎臓の働きが障害され体を正常に保つ事の出来なくなった状態を云
います。
原因は、いろいろな病原体の感染、毒物の摂取、先天的な異常、
免疫の関係した障害などが知られています。腎臓の中で血液をロ過し尿
を作っている所を糸球体と云いますが、猫ではこの糸球体の数が人の
約1/4しかなく腎臓が悪くなりやすいようです。実際、猫の主要な死
亡原因となっています。
症状は、水をよく飲み尿量も多い、食欲が落ちる、痩せてきた、元気が
なくなってきたなどですが、腎不全が進行し尿毒症を起こすと、嘔吐、
食欲廃絶、抑うつ状態、更には神経症状が見られる事があります。
もし、あなたの猫が腎不全だと獣医さんに云われたら以下の事に気を付
けて下さい。
- 新鮮な水をいつでも自由に飲めるように用意しておく。
- 猫のストレスになるような事は避ける。
- 獣医さんの指示に従い食餌療法を始める。
- これまで以上によく観察し異常があったらすぐに獣医さんに相談する。
子宮蓄膿症(Pyometra)
子宮の中に感染が起こると子宮内膜炎が起こり膿が溜まるような状
態にまで進行したものを子宮蓄膿症といいます。膿で充満した子宮
が腹部全体を占める程巨大になることも稀ではありません。細菌毒
により尿毒症を初めいろいろな障害を及ぼします。
元気・食欲低下、発熱、腹囲膨満、嘔吐、よく水を飲む、多尿、陰部から
のおりもの、脱水、などが典型的な症状です。
猫の場合、性成熟に達すれば若くてもこの病気になる可能性があり
ますが、避妊手術(卵巣・子宮全摘出手術)を受けてあればこの病
気にはなりません。
診断は臨床症状、血液検査、レントゲン検査などを組み合わせて行
います。
治療は外科手術と内科療法がありますが、内科療法は一旦
良くなっても再発することが多いので子供をどうしてもほしいので
なければ手術を受けた方がいいと思います。
膿胸とは胸腔内に膿が溜る病気で、原因はいろいろな細菌が感染する事によります。胸の外傷から直接胸腔に感染したり、食道や気管に異物が刺さったせいであったり又、肺炎から膿胸を起こす事もあります。
症状は、元気と食欲がなくなり熱が出たりします。膿が大量に溜ってくると肺が正常にふくらむ事が出来なくなり、猫は呼吸が苦しくなり伏せたままうずくまり、口を開け浅くて早い呼吸をするようになります。
このような呼吸困難の場合、治療は緊急を要します。又、猫の取り扱いにも充分気をつけ、病院への輸送中など猫の楽な姿勢でやさしく慎重に取り扱って下さい。
- 用語解説:
- 胸腔: 肋骨と横隔膜に囲まれ、肺、心臓、胸腺などが収容されている空間
下部尿路疾患
下部尿路疾患とは、尿が排泄される経路のどこかに障害のある状態を言います。
- 原因:
- 下部尿路疾患の原因には、膀胱炎、尿路結石、解剖学的異常、行動の異常などがあり、又大変まれですが腫瘍も原因となり得ます。
- 症状:
- 猫は、オシッコをもらしたり、しょっちゅうトイレに行って少しずつオシッコをしたり、排尿動作をするにもかかわらず全くオシッコが出なかったりします。
この為、飼い主さんはよく便秘と間違えたりします。
オシッコの色が赤みを帯びたり、ひどい時は真っ赤なオシッコが出る事もあります。
オシッコが完全に出ない場合は、尿毒症を起こし3日以内に死亡する事が多い、大変危険な病気です。
以上の様な症状が見られたらすぐに動物病院に連れて行って下さい。
- 下部尿路疾患猫の管理:
- この疾患は、原因にもよりますが再発しやすいようです。
原因の一つとなっている尿石には、食事管理が大変重要です。
結石成分に合わせた処方食を与えるようにします。
治療が長期にわたる事もありますので獣医さんの指示に従い根気強く管理する事が重要です。
また、この疾患を起こしやすくするその他の要因として、寒冷や運動不足などのストレス、肥満、トイレが汚れている事などが上げられます。
猫のストレスを減らし、トイレを常に清潔に保ち排尿を我慢させないように気を付けて下さい。
肝リピドーシス(脂肪肝症候群)
(しぼうかんしょうこうぐん)
肝細胞(かんさいぼう)に脂質(ししつ)が蓄積する為に起こる病気です。
年齢、品種、性別に関係なく発症(はっしょう)します。
- 原因:
- 現在のところはっきりした原因は分かっていないのですが、「肥満」はこの病気の誘発因子と考えられています。
この他、不適切な食事内容や慢性的な食欲不振もこの病気の原因になると思われます。
- 症状:
- 一般的症状は、食欲不振ですがこの他に病気の経過などから嗜眠(しみん)、抑鬱(よくうつ)、間欠的な嘔吐(おうと)、下痢などが含まれます。
- 管理:
- この病気の治療は、バランスのとれたキャットフードの強制給餌(きょうせいきゅうじ)が主体となります。
家庭での看護と強制給餌を数週間以上継続することもありますので治療を成功させる為には飼い主さんの協力的かつ献身的看護が必要となります。
治療が成功したとしても予後(よご)は警戒する必要があります。
- 用語解説:
- 嗜眠(しみん):寝てばかりいる事。
- 抑鬱(よくうつ):元気のない事。
- 予後(よご):予測される病気の経過。
胆管炎−胆汁鬱滞性肝炎症候群(胆管肝炎症候群)
(たんかんえん−たんじゅううったいせいかんえんしょうこうぐん)
胆肝系(たんかんけい):
胆肝系とは、老朽赤血球が壊されて出来たビリルビンを肝臓が処理排泄し、胆汁となって胆嚢(たんのう)に溜まり、消化管に分泌され脂肪の分解吸収に作用します。
この疾患は、胆肝系に炎症を起こした状態を言います。
- 症状:
- 一般的症状は、食欲不振、発熱、元気消失、体重減少、嘔吐、下痢などで病気の経過から脱水、黄疸(おうだん)、肝臓の腫大(しゅだい)などが見られる事があります。
- 原因および治療:
- 胆管肝炎は3つに分類する事が出来ます。
- 化膿性胆管炎(かのうせいたんかんえん)
胆肝系の化膿性炎症で、細菌感染が原因と考えられています。従って治療も抗生物質が主体となります。
- 慢性非化膿性胆管肝炎(まんせいひかのうせいたんかんえん)
ウィルス感染、細菌感染、薬物、化学物質、免疫介在性疾患(めんえきかいざいせいしっかん)など色々な原因により肝細胞が障害されて細胞から抗原が放出されると、免疫機構(めんえききこう)により肝細胞が更に障害されるようになると考えられています。
この場合の治療は、免疫を抑制する薬物が主体となります。
- 胆汁性肝硬変(たんじゅうせいかんこうへん)
慢性胆管肝炎の最終段階が胆汁性肝硬変となります。治療法は特になく、対症療法(たいしょうりょうほう)と残された肝機能の温存が主体となります。
胆管肝炎の治療は長期にわたる場合が多く、飼い主さんによる猫の管理が治療に大きく影響します。不幸にしてこの疾患と診断されたら、重大な事態にならないよう獣医師の指示に従って根気よく治療管理して下さい。
- 用語解説:
- 鬱滞(うったい):
- 液体のスムースな流れが障害されとどこおる事。
- 黄疸(おうだん):
- 血液中のビリルビン色素が異常に高くなり眼結膜や口腔粘膜、皮膚などが黄色みを帯びて見える事。
- 免疫介在性疾患(めんえきかいざいせいしっかん):
- 免疫機構に変調を来した為に起こる病気。
- 対症療法(たいしょうりょうほう):
- 原因を治療するのではなく、症状に合わせて治療を行う事。
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